2004年6月25日:I看護婦さんの話

 6月25日、梅雨の中休みも昨日までかな? 曇り空の朝です。

 今日は夕方、一旦自宅に戻って、明日朝早く車でN医大に向かいます。2度目の外来受診を受けるためです。あくまで治療の中心地は今入院しているC病院で、或る意味、N医大はセカンドオピニオン的ですね。明日は相談することが非常に多いので、今の内に整理しておかなければ。

 さて、去年の9月以来、入院の時に度々お世話になっているI看護婦さん。この方、18歳の時に虫垂炎の手術をされて、以後、5年間に十数回の入退院を繰り返したそうです。 ボクと同じく、術後の腸閉塞です。以前書いたE君の場合は4回の手術で小腸残り40cmという、ギリギリのところまで行って落ち着いたという壮絶なパターンでした。彼の場合は手術を繰り返してしまうということそのものに、ポリサージャリ=頻回手術症、という名前がついているぐらいで、20年ぐらい前にはこういう目に遭う人が結構多かったようですが、最近では開腹手術経験のある人の場合、検査で狭窄所見が無い場合は極力手術をせず、保存療法で治療すると言うケースが大半です。インターネットで検索をすると、ボクと同じように保存療法でやっている人の体験談やら、あるいは論文抄録などが多く見られます。

 I看護婦さんの場合、今から30年ほど前だったようですが、保存療養だけで頑張ったそうです。しかし、あまりに頻回に腸閉塞症状を繰り返すのを見かねて、勤務していた病院の先生が、ブスコパンを常時携帯することを勧めてくれたそうです。今の時代、たとえ看護婦で自分自身の体と言えども、注射器とアンプルを自前で携帯して自分で静脈注射する、なんてことは管理・規制が厳しいので絶対出来ないことですが、当時はそこまで厳しくなかったようです(厳密には違法ですね、まあ、時効かと・・・)。

 I看護婦さん、やっぱり入退院繰り返した後も1ヶ月に1度程度の割合で、腹部膨満と激しい腹痛に見舞われたそうですが、その時に自分でブスコパンを静脈注射して、度々事なきを得たそうです。

 ブスコパン、病院で注射を打ってもらうか、あとは飲み薬があるのですが、腸閉塞の腹部膨満・腹痛の時は口から物を入れるのが苦痛になるし、こういう症状の時、胃から先にきちんと薬が移動して吸収されないことには効果が期待出来ません。それでどういう話になったかというと「坐薬があればいいのにね」というところに行き着きました。

 高熱を出した時の解熱剤や、あるいは手術後の痛みを緩和する鎮痛剤は坐薬があるけど、ブスコパンのような鎮痙剤=内臓の痙攣緊張を取り去るタイプの薬で坐薬があれば、注射よりは多少効きは遅いかもしれないけど、飲み薬よりは格段に早く吸収されるはずなので、もし坐薬があればいいなあと・・・・

 探しましたよ、ネット検索で。ブスコパンと同じ、臭化ブチルスコポラミン製剤の坐薬でブチブロン坐薬というのがありました。昨日はK外科医長がお休みの日だったので、夕方S女医の回診時にこのことを話したところ、K外科医長への相談が条件ながら院内の薬剤部に確認してくれて、今でもちゃんとその坐薬が存在していることを確認してくれました。古い薬なので薬価も安いそうです。仕入は50個入り単位だそうですが、今、院内在庫はない。けど、院外処方なら、在庫している薬局を確認して入手することが可能とのこと。あくまで常用ではなく頓服使用なので、自分で常時10個程度持っていれば気分的には随分安心です。

 この薬、基本的には麻痺性腸閉塞や器質的腸閉塞には禁忌です。ですから、使用後、数時間しても便通・ガス痛がなく、腹部膨満や激しい腹痛が再発した場合には救急処置が必要です。それでも、数時間の時間稼ぎが出来れば、例えば外出時に何かあったとき、頓服で投薬して、薬の効いている間に移動して病院を受診するということも可能になります。何より、こういう安心感を確保出来る、ということ自体が、痛みを増長する要素を減らしてくれるので、精神的に随分楽だなと。先日のNHKの健康番組でも、人間の感じる様々な痛みというものは、精神的不安が加わることで増長されてしまうのだそうです。

 ちなみにI看護婦さん、今でも時々お腹は張るのだそうですが、長年の病気とのつきあいで、何をどのぐらい食べるとひどくなるか、ということを徐々に体で覚えたそうで、ここ20年ほどは腸閉塞で入院するということは無くなったそうです。もちろん、ブスコパンを持ち歩くなんてことも、ここ20年、せずに済んでいるそうです。もう一つ、25歳の時にお子さんを出産された後から、発症頻度が劇的に減ったということもあったそうです。所謂「何かの拍子」で良くなるっていうケースですね。まあ、ボクの場合、男ですから出産するわけにはいきませんケドね(汗)。

 それからもう一つ。病気のつき合いの上でのアプローチとして、漢方療法があります。前回田無のN病院を退院するとき、主治医のS医師が、「田中さんの場合のように、映像所見で特に問題ないのになかなか治らない患者さんは、漢方が良いかもしれない」と、言われていました。実際、漢方専門のお医者さんも紹介されていたのですが、場所が川越市ということもあって、通院を考えるとちょっと辛いなあ・・・と、思っていました。

 近所に専門医があればなあ・・・と、これもネットで検索してみると・・・なんと、今、入院しているC病院から歩いて5分のところに、漢方専門医の先生がいることがわかりました。K外科医長にこれを話すと「大和の医師会でお会いしたことありますよ」ということで、こちらにもご紹介を頂けることになりました。こちらは6月30日の夕方に診て頂けるよう、K外科医長が診察の予約までとってくれました。

 病気によって出ている症状、その原因がはっきりせず、難治となっているというケースは世の中にいくらでもあります。勿論、病名がわかっているもので、治療法が十分確立されている病気もあるでしょうね。けれど、療養ってのは、自分自身の養生だけでなく、こうやってネットワークで多角的にアプローチして、やってゆかなければならないんだなあと、改めて感慨にふける次第。

 もちろん、ぬか喜びは出来ませんが、とにかくこの先、トライ&エラーを、地道にやっていくしかないですね。

つづきはまた。

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