○ “パイプの煙と湯煙と”2003年12月19日・20日:湯治を終えて

 6泊7日、一週間の湯治もいよいよ終わりに近づいて来ました。

 12月19日、朝5時半に起床。寒気の入り込みのせいか、この日は寒かったです。早々に石油ストーブをつけて部屋を暖めます。日の出の時刻までにはまだ1時間以上あります。ポットのお湯でお茶を入れて戴きました。

 6時半を回って朝風呂へ。いつもの常連さんが通いで来られていました。そしてまたひとり、またひとりと、湯治宿泊のお客さんが入ってこられます。朝食前の入浴は皆さん定番ですね。

朝食です。カプチーノにはシナモン

たっぷりです。

今日の朝食です。バナナがちょっと黒くなって来ましたけど、中は大丈夫でした。オカズは里芋の煮物の残り、鶏とシメジの照り焼きの残りです。

朝ドラをPCのポップアップ画面で見ながらの朝食です。窓の杜でダウンロードした時計ソフトによって、服薬の時間をかんりしていて、食後の服薬品目が時間になると画面に出るように設定しています。

PCにUSB接続のTVチューナー

を繋いであります。

朝食後の洗い物のあと、部屋を掃除して、その後パイプとカプチーノでくつろいでいます。kの日は午前中は何とか窓を開けて居られましたが、午後は冷え込みが厳しく、窓を締めていました。

うーん、美味い! カプチーノ&プライベートクラブ







パイプたばこはラタキア葉という、たばこの葉を薫製にしたものがブレンドされた「プライベートクラブ」という銘柄を吸っています。ラタキア葉の香りには独特の刺激臭があり、好き嫌いが分かれそうですね。でも、ボクは気に入って居ます。一銘柄だけを喫うのではなく、様々な種類のたばこの「味」と「香り」を楽しみたいと思います。

自炊湯治も慣れてきますと、残り物ローテーションで短時間に食事の用意が出来るようになります。自炊場のガスコンロにいくつもの10円玉をポコポコ入れることも少なくなってきました。また、オカズの味は総じて時間をおいた方が、味が浸みたり煮込み直しによってやわらかくなったり、かえって美味しくなりますね。

この日は2日前の牛丼の残りです。ちょっとご飯を多めに食べてしまったのですが、食後、お腹が張り気味になありました。
 この温泉、飲用の効能に慢性胃カタルというのがあり、胃酸減少症に効果があるとあります。ボクの場合、実はあまり胃酸を出し過ぎると具合が悪いのですが、その他の効能を考えて、毎日180ccを3回に分けて飲んでいました。便通については飲用の効果がかなりあったようですが、ここにきてやはり多少湯あたり気味になったのか、胃酸の分泌が多くなってきた感じがしますね。また、お風呂でご一緒になる同宿の湯治客の皆さんと親しくなるにつれて、どうしても長湯をしてしまう傾向になってしまうので、入浴時間の管理については、それぞれ各自の体調に合わせて、きとんと管理した方が良さそうです。

この日の夕食は大事をとって、エンシュアリキッド経口栄養剤2本にして早めに就寝しました。

お昼ご飯は2日前の牛丼残りがメイン

さて、ここでの生活も明日まで。館内の様子を納めておこうと思います。

帳場です


日帰り入浴は1回600円です

内湯の入口

正面が混浴浴室の脱衣所です。
脱衣所も「混浴」です。


玄関に揃えられた下駄

玄関脇のお休み処。チェックアウト後

バス待ちの時間などに利用できます。

襖の浸みはそのままにに
でも妙に落ち着くお部屋で

壁の破れも簡単に補修されただけ
でも、これで4000円/1泊は安い!

温泉のタオルも1週間で
かなり錆色に染まりました


ガラス戸もガムテープで
補修されただけ。

 自炊湯治のお部屋は当古湯金泉湯の中でも最も築年数の経過した本館の2階部分です。壁や襖、ガラス戸の補修は簡易になされているのと、建物自体も若干沢に向かって傾斜をしていますが、冬場、隙間風が入ることはありません。むしろ、これだけ年代が経過した歴史ある部屋に宿泊できるチャンスは、逆に今の時代では貴重な体験と言えるでしょう。
 清楚なお部屋でなければどうしてもダメ、という方にはお勧め致しませんが、ボクはこの部屋は最高に気に入りました。
湯治という目的を考えた場合には、この部屋の雰囲気は最高の安らぎを与えてくれると思います。明治初期から、長年に渡り、この部屋で湯治生活を送って緩解・再起をして行かれた先人たちの鋭気さえ感じられる、そんな気がします。

色々とお世話になりましたご主人です。

湯治客を支えるまじめなご主人

7日間お世話になった古湯金泉湯のご主人です。湯治のアドバイスなどについても丁寧に教えてくれますが、湯治客が大切にする「自分の時間」に、とても配慮して頂ける方です。尋ねればよくおしえて頂けますし、問わなければあえて干渉はしない。こう言ったさりげない細やかな配慮が、ここ、古湯金泉湯での「湯治の神髄」を支えているのだと思います。

さて12月20日、湯治を終えて宿を立つ日となりました。この日は朝から結構な雪が降りました。荷物の運び出し等があるので、この日は湯冷めを警戒してお風呂には入りませんでした。朝御飯も栄養剤で簡単に済ませ、荷造り、部屋の掃除を早々に終えました。前日、ご主人に駐車場まで荷物を軽自動車でピストンして頂くようにお願いしていたのですが、軽自動車が出せず、2往復を歩いて運びました。結構きつかったですねえ(激汗)。そして、積雪がありますから、チェーンを撒かなければなりません。ボクの車には常時フロアジャッキとチェーンを搭載してありましたので、チェーンは5分ほどで取り付けました。

窓から見下ろすと一面雪景色

この冬一番の寒波が出発日に到来(汗)

前日から「この冬一番の寒波到来」と、NHKの天気予報で散々言っていましたが、ここ増富も約7センチの積雪となりました。


屋根には7センチの積雪

6泊7日の間、本当にお世話になりました。

湯治の効果は? と、問われると、うーん、正直なところ、よくわかりません。実際には同じような日程で、何度か通ってみて、本当に自分に合うお湯なのか、あるいは、治療法としても合うのかどうかは、もう少し時間を掛けて見極めて行く必要があると思います。しかしながら、湯治専門の宿で、ひとり自炊をして、周囲に干渉されず、ゆっくりと過ごす精神面での効果は絶大だと思います。そう言う意味で、1週間という時間は、あまりにも短すぎて、出来ればもう少し長くとどまりたかったなあというのが正直な気持ちです。

最後に、この古湯金泉湯さんは、首都圏に最も近い湯治専門宿だと思います。自炊部屋に滞在されているかたは、本当に物静かに、体を癒すために過ごされています。宿に滞在中、ご主人から聞いた話ですが、バンガローなどと勘違いされて、「夜に部屋で宴会やっても良いか?」などという問い合わせがあったそうです。どういうんでしょうねえ? こういう場違い・罰当たりな問い合わせをしてくる輩が居ると言うのは・・・(汗)。

体を癒す大事な場所として、長年多くの常連さんが守られて来た部分が多々あると思います。

宿のキャッチフレーズである「静かなる湯治の宿」という言葉の意味をよく考えた上で、訪れて頂きたいと思います。

また機会を作ってぜひ、この地を訪れてみたいと思っています。

出発前の記念撮影

増富を後にしましたが、オミヤゲについて触れておきましょう。出発前日、お風呂でご一緒させて頂いた常連のご婦人から、地元の農家で藤原さんと言う方が、養蜂をやっておられて、広葉樹系の味と香りがしっかりした濃い蜂蜜を作られているという話を聞き、訪ねてみました。

購入した蜂蜜は、栃の木などが群生する地元増富の広葉樹系の森で採取したものだそうで、白く結晶していましたが、これは帰宅後、湯煎にすれば解けてきれいになるとのことです。5合瓶1本2500円。

それから、「オマケ」ということで、貴重なものを頂きました。天然の蜂蜜から分離した「蜜蝋」に、生薬の成分を混合させた一種の膏薬です。火傷や霜焼け、あかぎれ、痔、口内炎などに用いると効果覿面ということで、アルミ箔に10グラムほど包んで分けて頂きました。木の目地を磨いても艶が出るし、口に入れても問題になる成分はないので、口内炎や舌を噛んでしまった傷などにも大丈夫とのことです。

ちなみに、藤原さんは、冬場、かかとのカサカサした部分に塗り、ラップで覆い、湿布のようにしているとだいたい2〜3日で柔らかくなってくるとのことで写真のとおり、使い方を教えて頂きました。

広葉樹の花の時期に採取された

濃厚で香り豊潤な天然蜂蜜を購入

ご主人の藤原春美さんから、貴重な

蜜蝋膏薬を戴きました。

このようにラップで覆って湿布すると

かかとの硬い部分も2〜3日で柔らかく

なって具合が良いよと藤原さん。

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