2004年1月11日:壮絶な腸閉塞経験談を聞く

 
 寒の時期となって、寒い日が続いています。インフルエンザもぼちぼち流行りだしたようですが、予防接種を受けているので一応自分は安心ですけど、皆さん、くれぐれもお気を付けて。

 1月8日の初釣り以降、体調はまずまずです。夕方から夜に掛けて若干お腹が張ることはあっても、なんとかガス、便通とも順調なので、とりあえずは安心しています。

 1月10日土曜日から、再び東京田無の実家に来ています。今回の目的は実家近所に住む幼なじみのE君から、15年前に彼が経験した壮絶な腸閉塞闘病記を聞くためです。夕方、ご足労ながらE君に田無の実家まで来てもらい、途中からは大泉に住む自分の弟も呼んで、当家実家のメンバーと一緒に湯豆腐をつつきながら様々な話を聞きました。

 E君宅とは当家実家が田無に引っ越してきた28年前からの家族ぐるみのつき合いです。当家も向こうも男2人の兄弟で、先方はボクより1歳上のお兄さん、そしてうちの弟と同級生(ボクより2歳、3学年下)のE君。お兄さんは中学時代の吹奏楽部の先輩でもあり、某大文学部博士課程修了後、現在は書評業を中心に大学で講義を持ったり、講演など、忙しい毎日。そして弟さんのE君は食品メーカーの社内システムの仕事をしています。

 E君の腸閉塞のきっかけは、15年前に発祥した腹膜炎が原因だったそうです。虫垂炎が破裂して腹膜炎になったという話はよく聞きます。ボクの同級生でも他に2名の経験者を知っています。ボクの場合、虫垂炎は経験しましたが、幸い、腹膜炎には至りませんでした。化膿したものが自分のお腹の中で破裂して、膿が飛び散って仕舞うわけですから、開腹手術では腹内の洗浄などをするわけです。救急で運ばれた最初の病院の対処が悪く、対応が早ければ腹膜炎には至らなかったそうです。最初の病院の対応があまりにも悪く、設備の良い病院に転院して、以後の話を聞きました。

 術後、1回目の腸閉塞は数ヶ月だったそうです。それまでは何とも無かったのに、突然便通・ガスが止まり嘔吐。術後の癒着原因で、保存治療では追いつかず再手術で小腸の狭窄部を切除する必要があったそうです。

 2度目の術後も、落ち着いて一旦退院はしたのに、またその1ヶ月後ぐらいに同様の劇症で再入院。3度目の開腹手術では癒着を防止する対策をたてて、かなり特殊な手術をしたようですが、それがうまく行かず、術後3ヶ月もの間、病院のベッドで痛みと戦い続けたのだそうです。そして、いよいよ4度目の手術を受け、このときに残った小腸は僅か40cm。それ以外は癒着により複雑に絡んで、手術のたびに切除をしていったそうです。

 人間の小腸は2.5m前後、残り40cmというのは、生活していく上で本当に最小の長さなのだそうです。本当に崖っぷち、死を覚悟する手術だったとのこと。

 その後、経過は順調で、15年過ぎた今は、食べること、飲むこと、何の支障もなく過ごしているそうです。若干気を遣うとすれば、やはり炭酸飲料やビールは殆ど飲めない、飲みたくない。ただし、酒についてはある程度普通に飲んでいるし、煙草も一般の紙巻きで1日1箱程度。腸が短いのでどうしても吸収は悪く、あまり太れないけれど、それでも普通に食べて普通に出ているのだそうです。

 腸閉塞=イレウス は、特にお腹の手術をしたことがある人なら、いつ発症してもおかしくありません。また、その発症の仕方、以後の症状、経過というのが、個々の体質などにより千差万別。E君のように腹膜炎に端を発して、約1年の間に4度もの開腹手術を受け、そのたびに小腸が短くなって行ってしまうケースもあれば、完全閉塞とならず、狭窄部の具合で亜イレウスを繰り返すようなケースもあります。ボクなどはおそらく、後者でしょう。

 E君の場合、本当に死を覚悟したと言います。絶食の期間なども半端じゃないし、激痛3ヶ月が昼夜問わず続き、かなり強めの鎮痛剤などを使っても気休めにもならない。最後、激痛というものはあるピークを越えると、意識の中から消えるのだそうです。

 凄いなあ・・・と、思いました。

 ひとつの症例として、そして、その経験談はボクにとって貴重なものでした。そして、腸閉塞という病気が、非常に厄介な病気の割に、体系的な研究とか、治療方法などの集約がイマイチなされていないなという点についても、共有認識がありました。

 術後の癒着による腸閉塞を防止するため、最近では腹部の手術の後、翌日から歩いて体を動かせと良く言われます。E君の場合もそうだったようです。「運動をして!」と、言われる割に、じゃあ、どんな運動? どのぐらいの運動量? いつまで意識して続けるの? そういう指針って無いんですね。

 もう一つ。統計データを見たことがありません。運動をした人と、しなかった人で、術後の腸閉塞の発生比率がどう違うのかとか。

 最先端医療の進歩で、ガンやその他で様々な手技・手法が確立されたとしても、術後の腸閉塞で苦しむんじゃたまったもんじゃありません。E君の場合には、本当に最悪の経過をたどったのだと思いますが、それでも現在では支障なく生活していて、冷静に当時を振り返って経験談が語れるまでになったわけですね。

 さて、自分。この先どうなるのかな? E君のように、近い将来、再手術、切除、なんてことになる可能性もなきにしもあらず。徐々にこのまま通りが良くなって治っていく可能性もあり。あるいは、似たような症状が繰り返し起こって、あまり変化がないのかも?

 考えたらキリがありませんけどね。でも、かなり長期的なスパンで取り組まないとダメだなあという気持ちにはなってきました。

つづきはまた。

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