Do it Yourself!
How to Produce
"Wooden Flat Spool" for
Tenya Sea-bream fishing
手釣り糸を巻き付けておくためのものです。

イナダのカッタクリ用、あるいはマダコの手釣り用として、太いテトロン糸(ゴーセンのスーパートト24号またはよつあみのスーパートップ24号が一般的)を巻き付けておくため、現在でも市販のものはプラスチック製の丸枠や、塩ビパイプと木材を組み合わせた平枠など、何種類か店頭で見かけます。しかし、理想の形状は写真に示すような形状のもので、最近店頭ではこの形状の木枠を殆ど見かけなくなりました。この形状の木枠は、いざと言うときに即座にミチイトを送り出すことが出来るため、大変便利です。

店頭で売ってないため、自作をするしかありません。
ここでは、木枠の自作方法を説明します。
使用する材料は、ホームセンターで入手可能な角材を使用します。

1.角材の寸法
 大型の場合:W=45mm・T=20mm・L=900mm
 中型の場合:W=39mm・T=19mm・L=900mm
 小型の場合:W=30mm・T=20mm・L=900mm
※材料の厚みは、組立時に使用する木ダボの直径がφ8mmなので、20mm程度が妥当です。また、ホームセンターによっては、上記以外の寸法の角材を取り扱っている場合もありますので、各位の好みで選んでください。

2.角材の種類
米栂材・米松材等の節がほとんどない、表面が綺麗に仕上げられている角材は仕上がり後の見栄えもよくなりますが、材木の価格が比較的割高です。ラワン材も使用可能ですが質感がイマイチの割りに価格は思ったほど安くありません。一方、杉材は軽量で、仕上げ度の低い荒材などは非常に価格も安く、仕上げにはヤスリ掛けの手間が若干かかりますが仕上がり時の木目が綺麗です。重量も軽めで、意外と良いものが出来ます。ホームセンターなどで色々な材木を見比べて、好みの角材を選んでください。

下記は大型枠の場合の木取りと木組みの参考概略図です。
寸法の設定は、木枠外形の横幅が、高さよりも若干広めとなるようにします。



○製作例
ここでは 米栂材のW45×T20×L900の角材1本で大型木枠の製作例をご紹介します。このサイズの木枠ですと、手釣りのマダコ・アジ(ビシ釣り)に使用する、テトロン24号前後の糸200mが十分に巻けます。タテ釣りに使用するテトロンモノフィラメントマルチ編み糸系の8号100mを巻くには若干大きすぎますが、使用不可ということはありません。
1.材料
右は米栂材です。
木取りについては上記図面をご参照下さい。
ちなみに、ドイトでの値段は税込み394円でした。
2.木取り
鉛筆で図面に従って木取りを描き入れて行きます。右は、横枠すげ込み部分を鉛筆で書き込んだところです。
3.糸鋸その他、直線切断部分については使い慣れた工具で切断してください。単なる切断だけでしたら、極普通の鋸のほうが作業が早いです。
4.切断完了
とりあえず4つの部分に切断完了です。
5.切り込み部分の加工
横枠を組み込むための切り込み部分の加工は、鋸ヤスリを使うと簡単です。
6.鋸ヤスリの使い方
このように斜めに、鉛筆で引いた線より、最初は少し内側部分を荒削りします。
※右のように、最初から鋸ヤスリを使っても良いのですが、その前前に、すげ込み部分に2mm間隔程度で鋸で細かい切り込みを入れて予め指で押し割っておくと、すげ込み深さの仕上げ微調整程度のヤスリ作業で済みます。
7.切り込み部分の仕上げ
鋸ヤスリは、表・裏で荒目・細目となっているので、仕上げは細目面を使って、鉛筆で引いた切り込み部分の寸法まで丁寧に仕上げていきます。
※鋸ヤスリは、材の角部の面取りにも非常に便利な道具です。

8.横枠の仮組み
横枠を仮組みしてみて、切り込み部分の仕上げ度合いを確認し、必要に応じて修正仕上げをします。すげ込み部分の底面や、横枠がすげ込み底面に当たる端部の平面度は出来るだけ丁寧に仕上げましょう。
9.全体の仮組み
切り込みにゆがみがあったり、当たり面の仕上げが斜めになっていると、切り込みと横枠材の嵌め合い部分に隙間が出来たりしますので、できるだけ隙間がなくなるよう、横枠先端を鋸ヤスリで削って、嵌め合い隙間の調整をします。
10.木ダポンチによる穴位置決め
本当なら横枠と縦枠は、臍(ホゾ)による組立が理想なのですが、過去、1度トライして非常に苦労したので、今回は木ダボを使う方法にしました。

木ダボの位置決めは、木ダボポンチを使用します。
11.木工ドリルのセンター決め
木ダボポンチを使って、縦枠の切り込み底面に3箇所、写真のように木ダボポンチの先端を押し当ててセンターを決めます。ハンマーでしっかり叩くとはっきりとセンターのマーキングが出来ます。
12.木工ドリルによる穴あけ
木ダボはφ8−30mm。木工ドリルはφ7.5を使用します。掘り込みは18mm程度。目視でも良いですが、ビニールテープ等を巻きつけて、18mm以上掘り込まないようにすれば確実です。
13.木ダボポンチの裏向け装着
3箇所穴を開けたら、木ダボポンチの円筒側をそれぞれの穴に差し込みます。
※右の写真では3箇所木ダボ穴を加工していますが、ちょっと多すぎました。大型枠なら2本、中型・小型枠なら1本で十分強度が出ます。
14.横枠側の穴あけセンター決め
木ダボポンチを装着した縦枠に、その上から横枠を組み込んで、ハンマーで叩いて横枠の穴あけセンター3箇所を同時に決めます。材の厚み方向にズレがないように確認してから、ハンマーで叩いてセンター穴をマーキングします。

15.横枠の穴あけセンターマーキング完了
こんな感じでセンター穴がマーキングできます。センター穴に沿って木工ドリルで深さ18mmの穴を開けます。
16.木ダボを装着します。写真では指を添えていますが、打ち込みには木槌や金槌、プラハンマーなどを使います。木ダボを打ち込む前に、木工ボンドや木工パテを使用するとさらに強度が上がります。
17.組立です。しっかり隙間無く組み上げるには、ハンマーや、当て木を使って、しっかりと叩いて組み上げます。
※なお、組立に際しては、木工パテをしっかりと隙間に塗りこんでから組み立ててください。
18.糸巻き部分のR加工です。この作業には鋸ヤスリが非常に便利です。鬼目ヤスリでも構いませんが、作業スピードは格段に鋸ヤスリのほうが優位です。
19.糸巻きには向きがあります。横枠の下側は手で持つ「握り」となるため、糸は少し上側に巻くことになります。したがって、縦枠の上側端部は、糸の繰り出しがスムーズになるように、少し強めに面取りをします。
20.縦枠上側の面取りが粗方完了しました。
21.握り部分に角が残っていると、特に大型枠の場合には握りづらいので、自分の掌にあわせて、握り部分の面取りをしておきます。
22.仕上げ磨きをします。
紙やすり#80・#240・#320・#500の順で段々と木枠表面全体を磨き上げていきます。
23.仕上げ磨きもほぼ完了。特に縦枠の上側は糸の繰り出し時に引っかからないよう、丁寧に仕上げます。。
24.予備の穴あけです。木枠には、時として仕掛や鈎を引っ掛ける必要が出てきます。木枠そのものを、自宅の部屋のどこかにぶら下げるような場合にも、縦枠下側に穴があれば、そこに紐を通して掛けることが可能です。
25.完成です。握り部分は手の感触最優先。握ったときにしっくり行くように、綺麗に仕上げましょう。仕上げのヤスリ掛けを丁寧にすると、木目が浮き出て綺麗です。長く使える道具ですから、最初の製作時の仕上げを丁寧にして、時間とともに出てくる「味」を楽しみたいものです。
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