Self Advertisement, regarding 10 years history of "My" TENYA traditional Fishing!?
テンヤ釣り10年目の能書き

   
2006年5月25日 テンヤ釣り10年目にして釣り上げた7.5キロのマダイ
   Photo by びしまぐるいさん


 鯛釣りという釣りは、時として長い長いトンネルに入ってしまって出てこられないような状態、というのが少なくありません。その一方で、トンネルから脱出できるときは、意外とあっけなかったりします。その脱出の形態もまた様々ではあるのですが、今回ほど自分自身にとっても、周囲の人々にとっても、衝撃的な脱出形態は恐らく未来永劫、ありえないことでしょう。

 今回は何だか、「ある種の予感」がありました。

 2006年5月25日。インターネットでお知り合いとなりました“びしまぐるいさん”の仕立船に、半ば無理を申し上げて乗せて頂きました。

 びしまぐるいさんの鯛釣り企画、「洲ノ崎番外編」は、ある種、エビ鯛を基本とした交流試合で、実際にはその4日前、5月21日の日曜日が本番でした。ところが、直前の仕事のスケジュールがかなりハードで、出張先の糸魚川から予定より1日遅れて20日土曜日に何とか帰ってきて、加えて体調も優れずという状況でした。帰宅後、釣行に必要な荷物はすべて車に積み込んで準備だけは万端だったのですが、体調が戻らず、果たして行けるかどうか・・・
 そして午前2時にセットした目覚ましで起きたものの、お腹の張りがとれず全身に疲労感があって、ちょっと厳しい感じ。この時間だとまだギリギリびしまぐるいさんも起床されていないかと思って、メールにてドタキャンの連絡は入れたつもりではいたのですが・・・

 出船直前の午前4時半、携帯からのメール送信に手違いがあったようで、びしまぐるいさんから電話戴いてしまいました。送ったつもりのメールが届いていなかったようで、誠に申し訳ない限りでした。(びしまさん、ゴメンナサイ)
 この日、ビシマ道具でのトライ2度目の渋谷ですぅさんと、ビシマ釣りベテランのセントマータンさんは、それぞれしっかりと本命をGETされて、自分も体調さえ良ければ・・・と、悔やむばかり。

 ああ、行きたかったなぁ・・・体調戻ったら25日の十番勝負に何とか乱入させてもらえないかなあ・・・

 25日の企画は、びしまぐるいさん命名「洲ノ崎十番勝負」。本来は船頭とびしまぐるいさんが1対1で鯛釣り勝負に臨むというご自身の企画ですから、本当は割り込んじゃ申し訳ないところではあったのですが、文頭の通り、「なんかそろそろ来そうな予感」がしていたのです。番外編お仲間の極楽トンボさんも、釣友のKさんとともに乱入釣行をされるということだったので、「私も・・・」と、メールをお送りして参加させていただくことをお願いしました。

 これまで数度の洲ノ崎番外編釣行で本命マダイは全く取れなかったものの、この釣り場ではではとにかくカサゴやらウマヅラやらキントキなどの外道を結構釣り上げて、鴨居・走水では完全に自信喪失し掛かけていた「手釣りの感覚」が、賑やかな外道たちのおかげでかなり戻ってきていたのです。特に、ウマヅラに関してはモゾモゾと冷凍エビをついばむアタリが取れても、魚を引っ掛けるのは結構難しいものがありますが、数度の洲ノ崎通いで大きなテンヤにそこそこの枚数引っ掛けることが出来るようになりました。

 外道の少ない浦賀水道で、長い間タテ釣りで魚を引っ掛けられない状況が続いたため、「アワセ」動作に迷いが出てしまっていたのです。本来タテ釣りの場合、「ちょっとでもおかしいと思ったら躊躇せず合わせる」のがセオリーなのに、最初から躊躇してしまうようではタテ釣りやってる意味がありません。しかし、それが分かっていても躊躇するほど・・・いや、もしかしてアタリそのものが、だんだんと分からなくなり、知らぬ間に指先含めて「感覚が鈍ってしまった」というのが本当のところでしょう。ですから、洲ノ崎での釣りによって「とにかくアタリのある魚は尽く引っ掛けてやろう!」という、タテ釣り向きの「攻め」の気持ちに転じさせてくれたのでした。

 釣行当日は実家を1時過ぎに出発、首都高−アクアライン回りで午前3:50に洲ノ崎港到着。20分ほどして極楽トンボさんがお仲間のKさんととともに到着。そして程なく、びしまぐるいさんも到着。

 冷凍エビ餌が市場僅少だそうで、船宿でも調達に苦慮しているとかで、びしまぐるいさん、マル秘ルートでどさっと仕入れて、当日我々が使う分以外に、船宿の仕入れ分まで調達されてきたようです。活きエビが入手できないことはよくある話ですが、次善の冷凍エビが入手難とは厳しいものがありますね。

 主宰のびしまぐるいさん・極楽トンボさん・Kさんとともに、北山辰蔵船頭の第三北山丸に乗り込みます。
 「と〜るさんは左の艫に座ってよ。極楽さんはKさんにレクチャーするんで右側で並んで釣るから。」と、いきなり特等席を戴いてしまいました。ボクの場合、手釣り動作は左利きでミヨシに背を向けて釣るパターンなもので、通常は右の艫に行くのですが、今回初めて左へここ々は本来、十番勝負では北山辰蔵船頭の指定席です。

 
 前日、実家近くの農家で分けてもらった竹を加工して、道糸を保護するノズリも装着してバッチリ!

 洲ノ崎は房総半島の先端が西に突き出した地形で、丁度東京湾の出口にあたります。この日は実に穏やかな天気に恵まれました。
 

 出船して10分ほどで洲ノ崎灯台西沖の水深60m付近のポイントに到着。最初は、ウマヅラのアタリが多く、いつもの洲ノ崎パターンでウマヅラ引っ掛け練習開始。これはこれでなかなかゲーム性があって、道具さばきの練習にもなってなかなか面白いです。

 そして、何回かのウマでの引っかけ練習で1枚掛けて、再び冷凍エビをテンヤに縛って再投入。

 何だか船の周りはシコイワシと、それを追いかけるサバが。そして上空にはハシボソミズナギドリの大群が乱舞していて、ミヨシのびしまぐるいさんはサバを釣り上げていました。操舵室の魚探画面を見ると、水面から水深40mライン付近まで真っ赤な反応です。船頭いわく「ヘシコが一杯ぇでサバだの何だのが追っかけてきて凄いよ!」なんて話を聞きつつ、おニューの道糸、よつあみ「とらとら」8号ラインをスルスルと掌に滑らせて連続下降させていきます。
 「とらとら」の先は第一中錘からテンヤまで15m。「とらとら」は10mごとに色分けされていて、3色繰り出してテンヤ棚が45mを過ぎたところでボチボチタテ釣り特有の“落とし込み動作”に切り替えようとしたそのときです。
 いきなり道糸が「キュルルルル」っと音をたてて3mほど掌の中を滑りました。左手の親指と中指でブレーキを掛け、2手ほど締め込みするとガチっと道具が止まります。下ろしたての道糸なので、まだ完全に伸びきっていないため、少し「グワン」とした感じで糸が伸びる感じがありますが、止まった手と、正体不明の相手との、ほんの僅か、秒数にして5秒ほどの駆け引き。動かない隙を見て、再び手繰りに入るのですが、3手も手繰るとまた下に引き込まれます。このあたりが我慢のしどころなんでしょう。抵抗しない隙にはある程度手繰れるのですが、数手手繰ればまた下に引き込んでしばし手が止められる。しかも、この反撃に出る瞬間の引き込みは今まで体験したことがない引きです。過去に経験がないから、頭の中で想像した魚は、サメでした(汗)。俗に「鯛の三段引き」と言いますが、実際7〜8回、いや、それ以上だったと思います。糸が新しかった分、多少伸びに吸収された要素はあるにせよ、やっぱり物凄いやり取りでした。


Photo by びしまぐるいさん

 そして、ようやく第一中錘を掴み、中間糸を手繰り、また再び抵抗するのですが、最初のそれよりは勢いがありません。かつて見たこともない大きさの、巨大な鯛が、はじめ青白く、そして、少しずつ朝日の色に染まって、ぼんやりと紅色になって水面に浮いてきました。

 「やった!やった! タテ釣り苦節10年。過去最大記録、バンザーイ・バンザーイ・バンザーイ!」

 まあホント、周りの迷惑顧みず、ひとりで大はしゃぎしちゃいましたです。



 過去10年、鴨居や走水で釣れないタテ釣りに辛抱してきたのですが、洲ノ崎通いは2年目、それも4回目にしてこんな巨大鯛が釣れてしまいました。

 そうそう、この鯛に纏わる初めて尽くしをちょっと挙げてみます。

1.重量過去最大 7.5kg
  →その前は5年以上前、走水の2.45kgが最大
2.遊漁の鯛としては実物で目にするサイズとしては過去最大。
  →ミヨシOLMで色々見て来たけど、だいたい4キロ台までしか見たことがなかった。
2.初めて自作12号テンヤで本命が釣れた
  →自作テンヤは過去、ホントに腐るほど製作して仲間にも随分配った。貰った側の仲間がボクのテンヤで3キロだとか4キロの鯛を、浦賀水道でずいぶん釣っているのに、当の製作者本人であるボク自身が自作テンヤでの本命を1度も釣っていなかった。過去、鯛が釣れたときのテンヤは、なんとすべて、走水勝洋丸小川勝治船頭作の16〜18号テンヤだった。(それほど小川船頭のテンヤはよく釣れる)
3.1日に釣り上げた真鯛の総重量が過去最高
  →この7.5キロに続けて、約20分後、5.5キロまで釣り上げてしまった。1日で釣った鯛の総重量としても、合計13kgは過去最大。多分、松輪サバを除いて、自分で釣った魚の、1日の総合計重量としても最大。

で、2枚目まで釣れて茫然自失のと〜るです。

Photo by びしまぐるいさん

 大事なご自身の「十番勝負」に、飛んだ厄介者が乱入してしまい、申し訳ない限りですが、こんな日はきっと一生に1度あるかないかという日だと思いますので、ここは素直に大喜びをさせていただきました。座らせていただいた席も最高だったですし、日和も最高。そして、このチャンスを与えてくれた、びしまぐるいさんに、何よりも最大の敬意を表したいと思います。大変ありがとうございました(最敬礼!)


 上がり後の検量です。1枚目は7.5キロ。
 

一週間後に記録は塗り替えられましたが、この時点で7.5kgは今期北山丸の真鯛ダービートップでした。


2枚の大鯛ぶら下げての記念撮影です。とにかく重い!
 


帰宅後、初めて真鯛の魚拓を取りました。2枚の大鯛を、横105cm・縦90cmのブロード生地に並べての魚拓は一生の記念です!



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